長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-8月号」 見立てと治療

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面接室からのたより

コラム「LOUNGE-8月号」 ―見立てと治療―

(2009年8月25日掲載)  ラウンジとは御存じのように「待合室」のことです。“ゆったりもたれかかる”とか“ぶらぶらとすごす”という意味も含まれます。その名のようにクリニックが、現実の慌ただしさの中にひと時の安らぎをもたらすことのできる、いつの間にか見失っていた「わたし」に気づける空間となることを願っています。
 さて、心療内科クリニックを受診される方の多くが、すでに内科や婦人科で抗うつ剤を処方されています。今や抗うつ剤(SSRI、SNRI)は効果発現が速くかつ確実で、副作用が少ないことから心療内科だけでなく、不安や不眠に対し一般内科医からも処方されるようになったことが拡大要因となっているようです。気軽に服用できるということはメリットなのでしょうが、副作用のことや数カ月単位で管理していく必要のあることは患者さんご自身が知識としてあまりもたれていない印象を受けます。
 吐き気やめまいなどの副作用は何とかなるにしても、服用することで気分が持ち上がりかえって攻撃的で情緒不安定となったり、思考の停滞が改善したおかげで将来の現実に直面し希死念慮が増したりなど思わぬ事態が生じてくることもあるのです。それゆえ、心の状態の正しい「見立て」が求められます。「急がば回れ」と言いますが、焦りがかえって自らの首を絞めることにもなりますので、しかるべき準備の後に薬物治療に入っても決して遅くはないと思います。

―待合室で読める本から―

「ツレがうつになりまして」 (幻冬舎文庫)  細川 貂々著
 医者に「うつ病は誰でもなる病気だし、ちゃんと治療すれば治りますよ」と言われるよりずっと説得力があり、何より読後感が良いです。
「その後のツレがうつになりまして」 (幻冬舎文庫)  細川 貂々著
 “病気になる前の自分に戻りたい”と多くの方がおっしゃるのですが、うつ病がしかるべくして起こり、その経験が後の人生にプラスになるということがわかり救われる思いがします。
「境界性人格障害&躁うつ病REMIX」(星和書店) たなか みる著
 結構大変な内容なのですが、自分とどう付き合えば良いのかのヒントをくれます。
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