長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-11月号」パニック障害−その2−

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面接室からのたより

コラム「LOUNGE-11月号」 パニック障害−その2−

(2013年11月06日掲載)
今回は引き続き、パニック障害の治療についてみていきましょう。まず、過呼吸をコントロールすることが重要です。不安の最初の徴候があらわれたとき、次のことを試みてください。1.そのときにやりかけていることをやめてリラックス出来る姿勢をとる。2.息を止めて10秒数える。3.10まで数えたら、息を吐く。4.「落ち着こう」と自分に言い聞かせて、鼻から息をすることを意識する。5.6秒に1回の早さで呼吸する。6.10回呼吸するたびに、10秒息を止めて、再び6秒に1回の呼吸を続ける。毎日習慣的に続けていくと、自然に呼吸による不安のコントロールが行えます。
次にリラクゼーション・トレーニングについて触れます。人間は、脅威やストレスに対して、「逃げるか戦うか反応」として知られている反応様式を、生まれつきの本能として備えています。様々な課題を行うときに、集中力を高め、作業効率が高い状態にとどまっているのも、この反応のおかげです。しかし、普段から緊張が高くなっていることは望ましいことではありません。なぜなら、緊張が高いままになっていると、気がつかないうちに余裕のない状態になっていますから、ほんのちょっとした出来事でも、過呼吸やパニック発作のきっかけになってしまうからです。
リラクゼーション・トレーニングの一例として、人のいるところで座っている時の練習の仕方です。まず、1.息を小さく吸い込み、7秒間息を止めます。2.息を止めている間に、くるぶしで足を交差させておきます。そして、3.二本の足を反対方向に横へ引っ張り合うようにして、ゆっくりと両足の緊張を高めます。そして、4.7秒たったら、ゆっくりと息を吐きながら、「リラックスしよう」と自分に向かって話しかけます。筋肉の緊張を全部緩めてしまいます。5.緊張を緩めたら、目を閉じます。6.そのあと1分間、息を吐くたびに、「リラックスしよう」とつぶやき、緊張を緩めた状態を続けておきます。このように、他の筋肉も同様にリラクゼーションを行います。
ところで、広場恐怖を伴うパニック障害の人が、恐怖の対象となった状況に近づくと心配と不安が始まります。もしこの状況を全体であれ一部であれ回避すると、この状況への恐怖は増加します。これは、回避した後は不安が軽減するので、回避が正しい対処方法であったと錯覚してしまうためです。この連想を弱めていくためには、恐怖の対象となった状況に対して暴露を、段階的に行っていく必要があります。最初の段階では、不安を感じてもその程度が軽いような状況から克服していくことになります。その次により大きな不安と結びついた状況を克服しなくてはなりません。達成したい目標を確定し、次にその目標をより小さな段階に分けることが肝要です。成功体験の積み重ねが、パニック発作をコントロールできる自信をもたらしてくれます。
(「不安障害の認知行動療法」 星和書店 より抜粋)

―待合室で読める本から―

「呼吸法で体と心が劇的に変わる」(マキノ出版)「ゆびほか」編集部
うつや慢性痛、人間関係の問題を克服するための対処法として、「ゆっくりと深い呼吸」を20人の呼吸マイスターが具体的に伝授します。
「呼吸法でカラダが変わる」(マガジンハウス)クロワッサンMOOK
このムックでは、深い呼吸が身につくよう、簡単な体操を通して、腹式呼吸が自然にできるメソッドを紹介しています。ZEN呼吸の基本も丁寧な説明があります。
「からだとココロの健康力UP術」(主婦と生活社)NHK生活シリーズ
女性の4大悩みである、便秘、尿トラブル、頭痛、冷えについてわかりやすく解説してあり、さらにうつや不安についてもその要因と対処法が役に立ちます。
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