長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-3月号」社会不安障害(社会恐怖)−その1−

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コラム「LOUNGE-3月号」社会不安障害(社会恐怖)−その1−

(2014年03月10日掲載)
社会恐怖とは、注視されること、評価されること、もしくは注目の中心になることへの恐怖です。しかし、本当の根底にあるのは否定されることへの恐怖です。他人に欠点を見つけられたり、能力が劣っていると思われることを恐れます。不安だと見えること、例えば、赤面、発汗、震えや自分の外観や振る舞いを否定的に評価されると思い込んでいます。恐怖の対象となる状況は、プレゼンテーションや会議、会食、電話、腹鳴など生理的現象の生じる場面などです。頭の中では、自分の中に生じている不安や恐怖は不合理で過度なものとわかってはいるのですが、いざ状況に直面している間は非常な緊張と不安に苛まれます。
では、普通の内気や正常の対人緊張とはどのように異なるのでしょうか。他人がどう自分を見ているかについては、10代の頃の「自意識の発達」と関連します。多くの人にとって、人前で話すことやなじみのない人たちの集まりに出向くことはとても不安なものです。正常な人は、出来事が終わったらすぐに落ち着き、イベントの何週間も前から緊張と不安が始まることもありません。ところが、社会恐怖の人の場合、ずっと前から悩み始め、その状況になると不快感が次第に悪化し、終わった後でも満足のいく結果ではなかったと思い悩みます。このようなことが長年続きますと、自己評価が低下し、社会的関係からの回避が生じます。
一般に、社会恐怖は欧米でも見られ、おおよそ1.5〜4.5%の割合に出現し、男性より女性に多いようです。通常10代に始まり、自然治癒せずに慢性化する傾向にあります。ほとんどの方は、適切な治療に至るまでに何年もかかっています。不安障害になりやすさは、近親者が社会恐怖であるとリスクが高くなることから、遺伝的脆弱性も関与しています。人格的には「人からどう思われているか」と、他者からの評価を気にする感受性の高さが共通しています。まずは不安と社会恐怖についての知識をもつことです。そして自分がどのような状況で不安になりやすく、また状況を回避してきたのか、そのようなときにどのように考える癖があるのかについて、治療者と話し合うことが肝要です。
(「不安障害の認知行動療法」 星和書店 より抜粋)

―待合室で読める本から―

「人と接するのがつらいー人間関係の自我心理学」(文藝春秋) 根本橘夫著 
対人恐怖の背景に、自分自身を受け入れることへの自己肯定感のもてなさが関与しているとして、交流分析理論の立場から自己と和解する方法を伝授します。
「私がわたしになれる本」(KKベストセラーズ) テリーコール・ウィッタカー著
幸福という言葉にどのような気持ちを抱きますか。他者にはあなたが幸せかどうかの責任はなく、ありのままの自分を心から愛することができるようになれば人生をよりよく生きることができるでしょう。
「ささいなことにもすぐに“動揺”してしまうあなたへ」(ソフトバンククリエイティブ) エイレン・N・アーロン著
他者に敏感な人は大変傷つきやすく、気持ちが常に動揺しやすいものです。神経質、臆病、引っ込み思案な人にとって、その神経の細やかさをうまく使いこなして生きる術を教えてくれます。
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