長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-7月号」身体の病気に対処する方法

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コラム「LOUNGE-7月号」身体の病気に対処する方法

(2016年07月11日掲載)
私たちの多くは、時に大きな病気にかかります。病気とその治療のことで、私たちの考えや気持ちまでもが左右されてしまうものです。深刻な身体の病気は、生活の多くに影響を及ぼします。たとえば、周囲との人間関係、仕事。精神的な支えや信念、周囲の人との付き合い方などです。深刻な身体の病気があると、私たちは悲しくなったり、怖くなったり、心配になったり、怒ったりします。それは、次のような理由によるのかもしれません。自分の身体や自身が置かれた状況について、全般的にコントロール不可能と感じ、自分にできることが何もないと考えてしまいます。独りぼっちで、家族や友達から孤立しているように感じます。親しい人にさえ、自分の病気のことを話すのが難しいことがあります。彼らに心配をかけたり、動揺させたくないと思います。たとえば、がんや心臓病があると、とても不安になり気持ちが滅入るでしょう。日常生活に必要なことに手がつかなくなることさえあります。
不安な時は、次のように感じるでしょう。いつも心配であり、最悪な事態を恐れてしまいます。たとえば、病気が悪化することや、自分は死ぬのではないかと思ったりします。心臓の鼓動(動悸)がとても気になります。筋肉が緊張してリラックスできないし、汗が出ます。呼吸が速くなり (過呼吸)、めまいが生じ、意識が遠のくように感じます。また、うつ状態の時は、次のように感じるでしょう。不幸だという思いが消えず、どんな時でも不幸せと感じます。生きることに興味がなくなり、何にも楽しみを見いだせません。簡単な決断でさえも難しいと感じ、気持ちが休まらず落ち着かないでしょう。もう決してよくならないとか、自分には価値がないと感じることもあります。これらの症状のいくつか、たとえば疲労感や不眠症、食欲低下は、身体の病気やその治療による症状と似ていることもあります。自分がどう感じるのかを医師や看護師に話すことは、原因が身体の病気かまたはうつ病なのかを判断するのに役立つでしょう。
身体の病気にかかると、どうして不安やうつになりやすいのでしょうか。どんな理由であっても、人はストレスを感じると気分が落ち込み、不安になります。病気にかかり治療を受けるのはストレスの多いもので、おそらくこれが病気によって不安やうつになる主な理由でしょう。ステロイドのような治療薬は、脳の働きに影響して、直接、不安やうつをひき起こします。甲状腺の働きが低下している場合のように、身体の病気があると脳の働きが影響を受け、直接、不安やうつ病をひき起こします。身体の病気にかかった際、次のような場合、ひどく不安になったり、うつ病になりやすいようです。過去に不安またはうつ病になったことがある。自分の身体の病気について、話せる家族や友人が周囲にいない。女性である(男性よりも女性の方が不安やうつ病が多いと報告されています)。他にも問題やストレスを抱えている。たとえば、解雇や離婚、または大事な人の死などです。
不安やうつには、どのような治療があるのでしょうか。かかりつけ医、資格を持つカウンセラー、臨床心理士、精神科医など、様々な分野の専門家がいます。たとえ友人に対してでも、胸の内を話すということは難しいものです。他方、専門家は、あなたの話を興味深く聞いてくれるので、気持ちを伝えやすいでしょう。彼らは、あなたがはっきりと物事をとらえたり、問題を整理するのをサポートしてくれます。専門家との間に信頼関係があると、自分の考えや気持ち、問題について自由に率直に話すことができます。ただ話をするために誰かに会うのは、勇気がいるし、無意味に思えるかもしれません。しかし、一度話し始めると、深刻な身体の病気を抱えた人の多くにとって、効果がみられます。対話療法により、自分がどんなことを考えているのかを把握することができます。気持ちや考え、現実問題に、上手く対応していく筋道を立てるのに役立つでしょう。ひどく不安で気持ちが落ち込んでいたり、またはそんな症状が長引く時は、抗うつ薬が有効かもしれません。抗うつ薬を服用すると、不安が軽くなり、気分が優れてきて、再び楽しい生活を送り、物事をうまくこなせるようになります。抗うつ剤は精神安定薬ではありませんが、不安やいらだちを和らげるのに効果があります。また、痛みや睡眠障害にも有効です。
(「日本語版こころの健康ガイド」より抜粋)

―待合室で読める本から―

「森田療法」(講談社現代新書) 岩井 寛 著
対人恐怖症、強迫観念や不安発作、不眠など、心身の不快や適応困難の悩みに対し、こころに潜む不安や葛藤を“異物”として排除するのではなく、「あるがまま」に受け入れ、「目的本位」の行動をとることによって自己実現をめざす森田療法は、神経症からの解放のみならず、日常人のメンタル・ヘルスの実践法として、有益なヒントを提供します。
「夢を旅した少年 アルケミスト」(地湧社) パウロ・コエーリョ 著
羊使いのサンチャゴは、彼を待つ宝が隠されているという夢を信じ、アフリカの砂漠を越えピラミッドを目指します。様々な出会いと別れを経験し、少年が人生の知恵を学んでゆく物語です。人生の糧になる、心のに残る一冊です。
「一瞬で心が通う“言葉がけ”の習慣」(日本実業出版社) 高野 登 著
心のこもった“たったひと言”でコミュニケーションは、うまくいくようになります。習慣づけてしまえば、コミュニケーションの達人になることができます。ビジネスパーソンはもちろん、コミュニケーション力を高めたいすべての方に役に立つ1冊です。
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