長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-1月号」怒りについて―A

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コラム「LOUNGE-1月号」怒りについて―A

(2025年1月6日掲載)

  前回、怒りのコントロールや伝え方についてとりあげました。今回は、怒っている相手に対して関わる際に心がけたいことをご紹介していきたいと思います。

・相手の怒りに影響されない(俯瞰する、距離をとる)
 怒りは、周囲に伝染しやすい特徴があります。そのため、相手に怒りをぶつけられると、冷静に対応しようと思っても怒ってしまう場合があります。相手が感情的になっているときは、「これは相手が生み出している感情なのだ」と俯瞰することが大切です。相手と自分の間にバリアをはるようなイメージで、相手と自分の感情を切り離すことができると、相手の怒りにつられることが少なくなります。「これはこの人の感情、自分のものじゃない」と俯瞰すること。深呼吸して、間を置くこと(自分のペースを取り戻す)。スキルを使うこと(別のことを考える、100、97,94・・・と100から3を引き続ける)。怒っている相手について、実況中継をすること(思い込みが強くなって、怒りが爆発しているようです。手をグーにしている。胸を張っている、等)も、役立ちます。

・たとえ間違っていても、相手の言い分を一度受け止めること
 事実関係を確認しながら相手の言い分をまず聞くことで、相手の気持ちも落ち着きやすくなります。そのうえで、こちらがどうしたいかを相手に伝えると、こちらの話も受け入れてもらいやすくなります。

・相手の怒りの裏にある気持ちに目を向ける
 クレームを受けたときなどには、「楽しみにしていただいていたのに、誠に申し訳ございませんでした」と、相手の気持ちに寄り添おうとする言葉があるだけで相手の態度が軟化します。たとえ相手の本当の気持ちがわからなくても、理解しようとする姿勢は伝わるので、相手の感情を推測する習慣をつけてみましょう。

・何を言っても変わらない場合は、受け流す姿勢をもつことも大切
 一般的にみておかしな言動をしている人や、最初から敵対するつもりで関わってくる人に対して、同じ土俵で戦ってしまうとストレスをためてしまいます。正しくなくてよいので、「トイレに行きたくてイライラしているのかな」など、笑ってしまうような相手の事情を妄想すると自分の心が軽くなります。“考えるだけ時間の無駄”“こんなことに時間をつかわないようにしよう”と割り切り、ストレスの悪循環から抜け出しましょう。

・相手の感情をコントロールしようとしない
 相手の感情を、“何とかできるもの”と認識している間は、イライラは消えません。相手の気持ちは自分にはコントロールできないものだと認めて、「怒鳴り声が始まったら席を離れる」など、自分でコントロールできることに意識を向けられるとイライラが減りやすくなります。
 怒りやイライラする気持ちは、なるべくなくして心穏やかに過ごしたい、と思いがちですが、自分を守るための大切な感情の1つです。ときにはその気持ちと向き合い、認めていくことで上手につきあっていくことができればと思います。

(心理 A K 記)

―待合室で読める本から―

「許す生き方」 岩本 元熙著  幻冬舎
怒りの感情に支配されず、自分の心と冷静に向き合うことが、人生を好転させるヒントであり、自分の失敗や相手の裏切りを許すことが大切です。本書は許すことで人生を好転させてきた著者の考えをもとに、許せる自分になるための考え方をまとめた一冊です。
「キイトス ストレスとわたし」三栄編集  三栄書房
私たちの心身の状態を大きく揺り動かすストレスの正体をあらためて知り、うまく向きあいながら、ネガティブなものを取り去るアイデアを自分の引き出しにストックしておけば、思うように生きていく後押しになってくれます。
「ブルータス 猫になりたい」 BRUTUS編集部  マガジンハウス
人は猫と共に暮らす喜びを、歌に、物語に、絵画に、写真に表してなお、その実態を掴むことは困難です。43人の言葉、264匹の姿で満ちた猫まみれの一冊を通して、猫たちと生きる豊かさの一端に触れることができます。
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