前回のコラムでは、「バウンダリー」という考え方や、その種類についてご紹介しました。
「バウンダリー(境界線)」の引き方には、少なからずその人のくせが反映されます。周囲の意見に流されやすい、疲れているのに頑張ってしまう、子どもがやってしまった失敗を、親である自分の責任だと考えてしまう、などです。こうしたバウンダリーのくせは、好ましいものばかりではありません。ときには、そのくせが「人づきあいがしんどい」などといった悩みをもたらすこともあります。バウンダリーのくせに気づくことさえできれば、いつでも修正できるのです。
人間関係にまつわる悩みや苦しみは、「境界の混乱」から生まれます。そんな状況から脱するためには、まず「境界の混乱」を招いている自分自身の「くせ」に気づくことが必要です。自分の「くせ」に気づくためには、普段の自分の行動や発言を思い返すことや、他者と語り合うこと、他者を観察して、自分の行動や発言に照らし合わせてみることなどが役立ちます。
バウンダリーのくせに気づけたら、それをリストアップして書き出してみましょう。続いて、簡単に変えられそうなもの、取り組みやすそうなものを順位付けしてみます。
バウンダリーのくせの順位表が出来たら、一番順位の高いものから、無理のない範囲で修正していきましょう。上記のリストの例なら、①の「買い物に出かけると、よけいなものを買ってしまう」からトライします。修正法としては、「買い物リストをつくる」「買い物に必要なお金だけ持っていく」などが挙げられます。
他の例では、苦手な相手と話すのが辛いときのテクニックとしては、伊達メガネやマスクを着ける、椅子を少し引いて座るなどして物理的な境界線を引く、相手が話しているときは首や肩などを見て目線をぼかすなどがあります。その他、様々な関係性や状況に応じた境界線を引くためのテクニックがあります。
大切なのは、事後に自分がとった対応を振り返り、「もっとよい対応をするにはどうしたらよいか」と考えてみることです。信頼できる人に、「あなただったら、こんなときにどうする?」と聞いてみることも役立ちます。実践と振り返りを繰り返し、「境界線」が混乱したときの選択肢を増やすことで、混乱を乗り越えるためのスキルが身についていきます。
境界線は引き直すことができる、相手との関係は少しずつでも変えることができる。そう思えると、人間関係から生じる不安に押しつぶされたり、耐えるだけではなく、どうしたら自分が居心地よく過ごせるかと、自分を大切にしながら問題に向き合いやすくなるかと思います。
今回のコラムは、「しんどい人間関係に境界線をつくる 心地よいバウンダリー」という本を参考にしています。待合室にもありますので、ぜひ手に取ってご覧ください。
(心理 A K 記)






